私は車に乗るとびっくりされるくらい話さなくなる。

友人などとの盛り上がりタイムは別として、静寂が許されるなら私は景色を見ながら、刺激を受けたり、自分の心と会話をしているのが至福の時だ。

ミーアも話をするよりも運転に集中するか、その時間を頭や心の整理に使う方が好きなので、二人の相性はいい。

昨日の瞑想を思い出しながら、目の前に与えられている風景にも自然の感謝の念が湧く。

道があること、牧場と森が自然の景色を与えてくれること、この時間を与えてもらっているこの場所だって沢山の時間と人とエネルギーの流れで出来上がっているんだから。

牧場観光を楽しめばいろんなことに気づく。

牛も羊の種類はいろいろ。牛は黒、茶色、まだら、羊は顔が黒い子もいる。

牛の模様から「君たち全員家族だよね？」と気づくほど模様が似ている場所もある。

山羊や七面鳥、ドンキー、馬、アルパカ、鹿にも出会えた。

牛と羊が同じエリアにいたり、たまに牛と馬という組み合わせもある。

数えられるほどしかない牧場もあれば、多くの牛と羊が混ざり合い、黒白模様いっぱいに広がる牧場などもある。

たかが牧場と侮るなかれ、冷静に見ればそこにも楽しさは隠れているもの。

物思いにふけり、牧場観光をしていれば1時間などあっという間。

見えてきた、タウポの看板。

まぁ町への到着が1時間後の予定だったけど、ノロノロキャンパーは予定時刻着など基本ない。

ナショナルパークでの長距離を移動し、3日前マスタートンで格安で入れたガソリンも底をついている。

ここが町内ならお気に入りのガソリンスタンドがあるんだけど、同じタイポでのエリアが違う。

ナビでガソリンスタンドを探すもタウポ中心から離れる場所ばかり、ここはミーアの勘で道を行く。

しばらくしてから再び検索すると2ｋｍ先に少し安めのモービルガソリンスタンドがあることがわかり、安心。

しかし給油ランプ点滅は結構前から続いており、安心したり心配したりヒヤヒヤ。

たまに見かける道路を手押ししている車。

なんでも余裕余裕と計算しないで動くニュージーランド人だからこそ、余裕がない現実に起こった災難。

自分達もそうなるのではと不安を抱えていながらも、さすがにすべてを与えらえている人生。

無事到着、ガソリンゲット、スタンドを私たちに与えてくれたことに感謝を忘れない。

ヒヤヒヤすれば腹も減る。

持参食だとハムエッグピタサンドが作れるけど折角、タウポ町に来たんだからと外食といこう。

私の頭の中ではいつも利用しているパイ屋さん。ここは良くパイ大会で1位を取ることが多い。

「何食べたい？」

ミーアに聞けば

「ＫＦＣ」

と返答。

またか、やっぱりうちらはＫＦＣ好き。

まぁ二人の意見が一致している点は買うということ。

「パイはどう？」

「いいよ。」

よかった。

頭の中で今後の予定を作り上げて、次の大きな町を通る時にＫＦＣを食べることを約束。

タウポセンターシティに到着し、車を止めてパイ屋さんへ。

私はホワイトソース好き、シーフードパイになることが多い。

シーフードパイを見てみればこれは2010年シルバーを獲得している。

最新2017年ゴールドをゲットしたのはベニスンベーコンマッシュルーム。

折角なので、こちらをいただこうと2つゲット。

値段を見ずに購入したため、$5.3の高め値段に気づいたのは会計にて。

キャンパーに戻りお皿の上に。

ケチャップたっぷり乗せて、割ってみる。

あれっ？中の肉が茶色いぞ？

「ベーコンじゃないの？」

「ベニスンだよ。」

「なにそれ？」

「鹿」

そして驚く私に、驚くミーア。私、赤肉はほとんど食さないもので・・・・。

「どうしてこれ選んだの？アワードで優勝したから？」

「うんっ、折角だから観光地っぽいものが食べたかったの。」

というシンプル回答にミーアも納得。

ホワイトソースにベーコンを勝手にイメージしていたけど、出てきたのはミンチパイのありがちの茶色いソース。

しかしイメージを切り替えて、口にしてくればおいしく、ソースもいける。

イメージ通りだったミーアはそれはおいしくいただいておりました。

真実